糸満の平和記念公園から少し歩いたところにあるギーザバンタの崖の周辺は、息を呑むような素晴らしい景色が広がる一方、第2次世界大戦末期に最も悲惨で絶望的な戦いが繰り広げられた暗い歴史に思いを馳せることができる。

まず平和記念公園から坂を上り、摩文仁の丘と呼ばれるエリアを越えていくと、日本の各都道府県、またはさまざまな人種に関連する記念碑が立ち並んでいる。多くの慰霊碑があり、そのひとつひとつが、何千何万もの犠牲を痛切に思い起こさせる。

慰霊碑が象徴する人々の犠牲について思いを巡らせた後、丘の頂上まで歩くと、沖縄で最も素晴らしい景色のひとつであり、最も悲しい景色のひとつにたどり着く。このギーザバンタは、戦争末期に何千人もの人々が、連合軍に捕まるか殺されるかの選択肢を恐れて飛び降り自殺をした場所だ。今日私たちが体験できる美しさと静けさは、同じ場所で多くの人が苦しんだ悲惨な最期とは悲しいほど対照的だ。

ギーザバンタの頂上でしばらく過ごした後、崖の周りの階段を下りると、戦争末期に司令官たちが退却した坑道群の入り口を見ることができる。悲しい歴史が残る場所だが、訪れる価値はあるだろう。

時に混雑する資料館や記念館とは対照的に、摩文仁の丘やギーザバンタは、かつての沖縄が経験した喪失の大きさを静かに思い起こさせてくれる。